特定非営利活動法人 血管腫・血管奇形の患者会

第25回医療講演会のご報告

ご報告が遅くなりましたが、去る11月24日(日)、大阪にて第25回医療講演会を開催いたしました。
今回は、午前中に交流会、午後に信州大学医学部形成再建外科教授の杠(ゆずりは)俊介先生と、和歌山県立医科大学皮膚科教授の神人(じんにん)正寿先生にご講演いただきました。
杠先生、神人先生の詳しいお話については、現在レポートを作成しておりますので、後日ホームページに掲載いたしますが、今回、日本血管腫血管奇形学会の理事長でもある杠先生から、【日本血管腫血管奇形学会の取組み】についてのお話がありましたので、お伝えいたします。
以下、その内容です。
【日本血管腫血管奇形学会の取組み】
①硬化療法の保険収載
②血管腫血管奇形の日本全国専門家マップ作成
③「血管奇形」「脈管奇形」の用語について検討
④診療ガイドラインの大幅改正と英文版公表
⑤医療扶助制度の充実
⑥全国規模の患者データベースの構築
⑦オーダー弾性着衣の保険での支給
⑧痛みと生活の質の評価方法の基準作り
⑨組織から日本人における血管奇形の体細胞遺伝子異常の特定
⑩国際化
これらは、現在取り組まれているもの、今後取り組んでいかれるもの、などがありますが、こういった形で私たちにも情報を共有してくださることは、とてもありがたいことだと感じます。
①については、先日患者会でも厚労省の稲津副大臣に署名を提出いたしましたが、先生方のほうでも、医師主導治験へ向けて、様々な準備をされているとのお話がありました。②については、日本血管腫血管奇形学会のホームページに、どこの病院のどこの科に行けばいいのかがわかるように、マップを掲載する準備をされているというお話がありました。医師向けにアンケートを実施されていて、どこの施設でどういうことができるかを調査し、それをまとめて、掲載してくださるそうです。③については、「奇形」という言葉について、現在学会内で見直し検討のワーキンググループが作成されていて、アンケートなどを通して患者や患者家族の意見も調査したうえで、検討していく、とのことでした。④については、2017年に作成したガイドラインについて、日本だけでなく海外にも発信していこうということで英訳をされている、というお話がありました。⑤については、指定難病、小児慢性特定疾患などで該当するものがあるので、ぜひ調べて利用してください、とのことでした。⑥については、現在、全国規模のデータベースを構築しているので、そのためのアンケート用紙が届いたら、ぜひご協力ください、とのことでした。⑦については、杠先生が現在、保険収載に向けてまずクリッペルトレノニーの患者を対象に、弾性ストッキングによる効果を調べて、結果を出していく、とのことでした。⑧については、市民公開講座でも話が出ていたように、痛みの指標やQOLの指標などを通して、痛みに対してもっとフォローしていきたい、というお話がありました。⑨については、始めたばかりではあるものの、日本人の遺伝子異常の特定に向けて、検体などを集めている、というお話がありました。⑩については、杠先生が先日中国でもお話をされたり、12月には韓国でもお話をされる予定がある、とのことでした。
来年は、6月に学会があり、今回も患者会が参加するコーナーがあるということや、学会3日目の13日(土)に、患者向けの講習会のようなものを企画しているので、ぜひご都合をつけて参加してください、とのお話もありました。
④に出てきた「ガイドライン」については、患者会ホームページのリンクからも飛べるようになっていますが、研究班のホームページでどなたでもご覧いただけるようになっていますので、ぜひご覧ください。(http://www.marianna-u.ac.jp/va/guidline.html)また、疾患分類については、英語のページにはなりますが、ISSVA(イスバ)分類は同じくISSVAのホームページにてどなたでもご覧いただけるようになっていますので、ぜひあわせてご覧ください。(https://www.issva.org/classification)※ISSVAは、International Society for the Study of Vascular Anomaliesの略で、血管腫血管奇形の国際学会です。
少し長くなりましたが、以上です。
今後も、学会での取組みのお話は、こういった機会や市民公開講座などを通して、伺える機会があるかと思います。患者会でもできるだけ発信していきますが、皆様もぜひご都合のよろしい範囲で医療講演会や市民公開講座などにご参加ください。
今後ともよろしくお願いいたします。