特定非営利活動法人 日本血管腫・血管奇形患者支援の会

治験情報検索

臨床研究情報ポータルサイト
日本で行われている臨床研究(試験)の情報を検索することができるサイト

ClinicalTrials.gov
主に米国で実施されている治験を見つけることができる公的なサイト

 近年、血管腫・血管奇形の分野でも、国内外で様々な治験が行われています。人に対して行われる医学研究を臨床試験といいますが、一般的に治験とは、薬の候補の安全性や有効性、適切な使用量などを調べるために行われる臨床試験のことです。薬事法に基づく医薬品・医療機器の承認を得るために実施され、承認が通ると一般的に使用できるようになります。それらの治験には、製薬企業等が医師に依頼して行う「企業治験」と、医師自らが行う「医師主導治験」があります。医師主導治験は、企業がビジネスとしてなかなか着手できない希少疾患分野の医薬品や、国内で承認されていなかったり適応外で使用されたりしている医薬品などにおいて行われます。
 ひとつの薬が一般的に使用されるようになるまでには長い年月がかかり、時には10年以上かかることもあります。植物、土壌、海洋生物などから発見された物質や化学合成された物質の中から薬のもとを見つけ出す基礎研究といわれるステップで2~3年、試験管での実験や動物での実験で病気に効果があり人に使用しても安全だと予測されるまでの非臨床研究のステップで3~5年、薬の候補の安全性や有効性などを確認するために人に対して行われる治験のステップで3~7年、国に承認してもらうための承認申請のステップで1~2年、それらの過程を経てようやく薬が誕生します。
 治験にはさらに3つのステップがあり、第Ⅰ相試験(臨床薬理試験)では、少人数の健康な成人に少量から投与し、副作用がないかどうかの安全性や、薬物の吸収、分布、代謝、排泄などの薬物動態について調べます。第Ⅱ相試験(探索的試験)では、比較的少人数で効果が予想される患者に投与し、副作用の程度(安全性)や有効性、適切な使用方法などについて調べます。第Ⅲ相試験(検証的試験)では、多数の患者に対して第Ⅱ相試験から得られた結果に基づいて投与し、実際の治療に近い形で有効性や安全性、使用方法などを確認します。通常、第Ⅱ相試験や第Ⅲ相試験では、プラセボという本物の薬の候補と同じ外見、味、重さをしている有効成分の入っていない偽物の薬を使用し、比較試験によって評価・検証を行います。比較試験は、公平を保つために多くは無作為化割り付けというくじを引くような方法で決められ、二重盲検法といって医師も患者もどの処置が割り付けられているのかがわからないようにする方法がとられています。
 治験は、あくまで薬の候補を薬として使用できるようにするための過程のひとつです。対象者にも条件があり、希望すれば誰でも受けられるというものではありません。治験を正しく理解し、治験に参加することになった際には医師任せにせず、よく理解した上で参加することが大切です。治験実施医療機関では、CRC(Clinical Research Cordinator)と呼ばれる治験コーディネーターが、医療機関や製薬会社、治験を受ける被験者の調整役として全体をコーディネートし、被験者のサポートにも対応していますので、不安な点などがあれば積極的に相談をしてください。

参考:臨床研究情報ポータルサイト
   厚生労働省ホームページ
   日本製薬工業協会ウェブサイト