特定非営利活動法人 血管腫・血管奇形の患者会

団体の歩み

 当団体は、2006年5月に『血管腫・血管奇形の患者会』という任意団体として発足しました。その後、医療講演会や交流会を中心に、署名活動や要望活動なども行いながら、16年間の活動を経て、2022年11月10日に新たにNPO法人として事業を開始しました。団体としての活動の記録は、こちらのページからご覧いただけますが、ここではもう少し詳しく団体が歩んできた道についてご紹介したいと思います。


 任意団体として発足する前、2005年の9月に個人のサイト「静脈奇形の患者のページ」が開設され、その掲示板に同じような疾患の患者や患者家族が集まり始めました。希少疾患のため、多くの方が同じような疾患の方との直接のやり取りに感動したものです。匿名での症例登録ページも次第に数が増え、それなりの人数が集まってインターネット上で交流することはできましたが、匿名であることやインターネットのみの交流となることに限界を感じ、また、硬化療法という治療法が保険適用ではないという現実を知り、どうにかしたいという思いがあり、団体を発足しようという流れになりました。会則を作成し、会としての形を整えて、発足総会は東京・御茶ノ水にある東京ガーデンパレスで14名で行いました。現在も使用されているロゴマークは、この発足総会のときに選定されたものです。ロゴマークのテーマは「元気のやりとり」。現副理事の横山Ms.は「患者会という響きの持つ重みを感じさせないこと、患者や家族同士が繋がり合い、元気のやりとりができること、そんなことを大切にデザインしました」と当時語っています。発足当時の20名ほどの会員は全国に散らばっていたため、全員が集まることはできませんでしたが、直接顔を合わせた上でこれから団体として取り組んでいくこと、取り組んでいきたいことなどを確認しあい、団体としての第一歩を歩み始めました。
 任意団体として発足して間もなく、2006年の5月末に当時岡山県の川崎医科大学放射線科にいらっしゃった今井茂樹先生から、団体のホームページを経由してご連絡をいただきました。血管腫・血管奇形に対しての硬化療法や塞栓術をされていること、何かお役に立てることはないかと医学誌「血管腫・血管奇形の診断と治療のストラテジー」(2004年5月先端医学社発行)を送ってくださったこと、などが書かれていました。願ってもない機会でとてもありがたく、すぐにご連絡して直接お会いしたい旨を伝え、岡山に向かいました。そして、団体としてこれから取り組んでいきたい方向性などをお伝えし、医療講演をお願いする運びとなりました。帰りにとても美味しい岡山のぶどうをいただいたことを今でも鮮明に覚えています。その年の12月に団体として初めての第1回医療講演会を開催することができ、そして、この翌年、今井先生が代表世話人を務められていた「血管腫・血管奇形IVR研究会」にて団体として発表する機会をいただき、これを契機にご協力くださる先生方とのパイプができ始めました。
 その後も「血管腫・血管奇形IVR研究会」に参加させていただきながら次第に協力体制が構築されていき、主に形成外科の先生方で構成された「血管腫・血管奇形研究会」(現在の「日本血管腫血管奇形学会」)ともつながりができ、毎年の医療講演会や交流会を中心に活動を続け、「血管腫・血管奇形に対する硬化療法・塞栓術の保険適用を求める署名」も7年に渡って皆様にご協力いただいて最終的に計54,634筆の署名と要望書を厚生労働省に提出することができました。この間、様々な関係団体との交流も増え、役員も個々に努力を重ねながら、時に厳しいご意見をいただいたり、逆に励ましていただいたりすることもありました。団体としてここまで続けてこられたのは、会を支えてくださる会員の方を始め、会に関わってくださるすべての方々のご協力があってこそだといつも感じています。
 2020年に新型コロナが流行し、しばらく対面での活動はできませんでしたが、逆にオンラインでの医療講演会や交流会を開催する契機ともなり、移動の手間や会場の手配などが必要なく気軽に開催できる方法として新たな活路を見出し、活動の幅を広げることができました。また、それまではレポートとして医療講演会の報告を行ってきましたが、レポートに加え、希望する方にはアーカイブ配信として後日都合のいい時間で医療講演会を見ていただくことができるようにもなり、多くの方に医療講演会を見ていただけるようにもなりました。
 そして、団体の活動が長くなっていくにつれ、これらの活動をさらに長く続けていくためにも、法人化をして組織をしっかりとしたものにしていこうという機運が高まり、2022年にNPO法人となりました。日本でこういった団体が社会資源としてしっかりと認識され、医療に積極的に関わっていけるようになるまではまだ道のりが長いですが、少しずつでもできることを重ね、支援を通して医療に、社会に貢献できる団体となれるよう歩みを進めていきたいと思っています。