特定非営利活動法人 血管腫・血管奇形の患者会

助成について

 血管腫・血管奇形は、疾患の種類や重症度によりますが、一部の疾患において児童福祉法に基づく「小児慢性特定疾病医療支援事業」および難病の患者に対する医療等に関する法律(難病法)に基づく「指定医療費助成制度」の対象となっており、決められた手続きを行うことで、医療費の助成を受けることができます。
 また、障害者総合支援法に基づき、障害者手帳(身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳)をお持ちの方はもちろんのこと、障害者手帳のない血管腫・血管奇形患者でも一定の要件のもと、障害福祉サービス等を受けることができます。
 以下に2つの医療費助成についてと障害福祉サービスについての概要を記載します。

目次
1. 小児慢性特定疾病医療支援事業
2. 指定医療費助成制度
3. 障害福祉サービス

 子どもの慢性疾患のうち特定の疾患については、治療期間が長く、医療費の負担が高額になることから、健全育成を目的として医療費の自己負担分の一部が助成される制度です。18歳未満が対象ですが、18歳到達時点で対象となっていて引き続き治療が必要と認められる場合には20歳未満まで継続することができます。自己負担の上限額は収入によって異なり、重症(認定基準はこちら)であったり、人口呼吸器等の装着がある場合にはさらに負担額が軽減されています(自己負担上限額についてはこちらを参照)。小児慢性特定疾病の自己負担の上限額は、指定難病による自己負担上限額の半額となっています。
 医療費助成の申請の大まかな流れは、下記のようになります。手続きの詳しい内容は小児慢性特定疾病情報センターのホームページをご覧ください。

  1. 小児慢性特定疾病「指定医療機関」を受診(各自治体の指定医療機関一覧はこちら
  2. 小児慢性特定疾病「指定医」による医療意見書の作成(各自治体の指定医一覧はこちら
  3. 医療意見書を含む必要書類(自治体によって異なることがあるので要確認)を準備し、居住している自治体窓口へ申請(各自治体担当窓口はこちら
  4. 小児慢性特定疾病審査会による認定審査と審査結果の通知

 また、小児慢性特定疾病児童等自立支援事業として様々な相談ができたり(こちらを参照)、日常生活用具給付事業として特定の用具の給付を受けられる(こちらを参照)こともあります。
 血管腫・血管奇形関連では、以下の疾患が対象となっています。(医療費助成の対象と認定される必要がありますので、以下の疾患のすべての方が対象となるわけではありません。)

  • 青色ゴムまり様母斑症候群
  • 巨大静脈奇形
  • 巨大動静脈奇形
  • クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群
  • 原発性リンパ浮腫
  • リンパ管腫
  • リンパ管腫症
  • 遺伝性出血性抹消血管拡張症(オスラー病)
  • カサバッパ・メリット現象または症候群
  • スタージ・ウェーバー症候群
  • 脳動静脈奇形
  • 肝巨大血管腫(乳幼児難治性肝血管腫)
  • 巨脳症ー毛細血管奇形症候群
  • 海綿状血管腫(脳脊髄)
  • 腸リンパ管拡張症
  • 腎動静脈ろう
  • エーラス・ダンロス症候群
  • フォンヒッペル・リンドウ病
  • カウデン症候群
指定医療費助成制度

 難病法に基づいて指定される指定難病について、治療法の確立や難病患者データの収集を効率的に行って治療研究を推進することに加えて、効果的な治療法が確立されるまでの間、長期の療養による医療費の経済的な負担が大きい患者を支援する制度です。年齢などの制限はありません。自己負担の上限額は収入によって異なり、高額かつ長期(認定基準はこちら)の場合や人工呼吸器等を装着している場合にはさらに負担額が軽減されています。また、支給認定の要件である重症度分類等を満たさない場合でも、一定の要件(認定基準はこちら)を満たす場合には特定医療費助成の支給認定が行われます(自己負担上限額についてはこちらを参照)。
 医療受給者証の交付までの大まかな流れは、以下のようになります。手続きの詳しい内容は、難病情報センターのホームページをご覧ください。

  1. 難病指定医療機関を受診(各自治体の難病指定医療機関一覧はこちら
  2. 難病指定医による診断書(臨床調査個人票)の作成(各自治体の難病指定医および協力難病指定医一覧はこちら
    ※新規および更新に必要な診断書の作成ができるのが難病指定医、更新に必要な診断書のみ作成ができるのが協力難病指定医です。
  3. 特定医療費の支給認定申請書や診断書(臨床調査個人票)を含む必要書類(こちらを参照)を準備し、都道府県・指定都市に申請(担当窓口一覧はこちら
  4. 都道府県・指定都市による審査と結果の通知

 血管腫・血管奇形関連では、以下の疾患が対象となっています。(疾患ごとの重症度分類によって症状の程度が一定以上の場合に対象となりますので、以下の疾患のすべての方が対象となるわけではありません。)

  • スタージ・ウェーバー症候群(指定難病157)
  • エーラス・ダンロス症候群(指定難病168)
  • オスラー病(指定難病227)
  • リンパ管腫症/ゴーハム病(指定難病277)
  • 巨大リンパ管奇形(頚部顔面病変)(指定難病278)
  • 巨大静脈奇形(頚部口腔咽頭びまん性病変)(指定難病279)
  • 巨大動静脈奇形(頚部顔面又は四肢病変)(指定難病280)
  • クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群(指定難病281)
  • 乳幼児肝巨大血管腫(指定難病295)
障害福祉サービス

 血管腫・血管奇形の中には、症状や治療によって身体の機能に一定以上の障害が生じる場合もあります。障害者手帳には、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳がありますが、このうち身体障害者手帳には1級から6級の等級が定められており、取得すると等級に応じて受けられるサービスがあります(身体障害者手帳について詳しくはこちら)。また、障害者手帳のない血管腫・血管奇形患者でも、指定難病の対象でかつ障害者総合支援法における障害者の定義(治療法が確立しておらず、長期の療養を必要とし、診断に関し客観的な指標による一定の基準が定まっていること)に該当する場合には、必要と認められた障害福祉サービスなどの利用が可能です。詳しくは、お住まいの市町村窓口へお問合せください。
 障害者総合支援法の給付・事業には、以下のようなものがあります。

  1. 介護給付サービス
    日常生活を送る上で必要な介助サービス
  2. 訓練等給付サービス
    リハビリテーションや就職に関するサービス
  3. 相談支援サービス
    サービスを利用するために行われる計画相談と地域での関係機関との連携や生活支援をするための地域相談
  4. 自立支援支援医療(18歳未満の育成医療、18歳以上の更正医療、精神通院医療)
    障害の治療にかかる自己負担が1割に軽減
  5. 補装具費
    障害の状況から補装具の購入や修理が必要と市町村が認めたとき
  6. 地域生活支援事業
    地域で自立した日常生活や社会生活が送れるよう市町村や都道府県が主体的に行う事業

参考:厚生労働省ホームページ
   小児慢性特定疾病情報センターホームページ
   難病情報センターホームページ
   けあスタイルホームページ
   血管腫・脈管奇形・血管奇形・リンパ管奇形・リンパ管腫症診療ガイドライン2022
   公費負担医療等の手引(全国保険医団体連合会)